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「アーロン王子、とても良くお似合いです。」
「そうか、私も気に入った。」
大きな鏡の前で、アーロン王子は満足気に微笑みました。
それを見た侍女たちは、感嘆の溜め息を漏らすのでした。
『カシュメールの王子』
それが、アーロン王子の渾名でした。
カシュメールとは、この国に古くから伝わる
伝説の花の名前です。
その花は数百年に一度しか咲かず、その美しさはたとえようのない程で、その花を見たさに死人までが生き返ると言われる奇跡の花です。
まさに、愛されるために生まれて来たかのように、アーロン王子はカシュメールに例えられる程の端正な美しい容姿をしていました。
絹糸のような金色の長い髪は、太陽の光にキラキラと輝き、深い緑色の瞳は、まるで宝石のようでした。
王子の部屋から見える庭には、常に色鮮やかな花々が咲き誇ります。
頭には煌びやかな宝石の散りばめられた王冠をかぶり、繊細な刺繍を施された衣装をまとい、優雅な所作で歩いて行く…
アーロン王子のその姿に、宮廷の者も町の者も、誰もが魅了されました。
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