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「アーロン王子…どうか、これを…」
側近のエドガーが、抱えていた肖像画を、アーロンの前に差し出しました。
「……またか。」
アーロンはうんざりした様子で、肖像画の束を受け取りました。
半年前18になったアーロンには、毎日のように貴族や王家の娘たちからの釣書が届きます。
しかし、残念なことに、アーロンの心をときめかせる女性は、なかなか現れなかったのです。
(一体、どこにいるのだろう?
私の心を熱く燃え上がらせてくれる女性は…
この世に女性はこれほどいるというのに、なぜ、私は誰にも惹かれないのだろう?)
そう…誰からも愛されるアーロンは、皮肉なことにまだ誰のことも愛したことはなかったのです。
王様や王妃様からも、早くお妃を迎えるようにと言われ、アーロンの気持ちは焦るばかりでした。
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