生まれガチャに胡座をかく人に鉄槌を

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 「税金を私利私欲の為に浪費した罪人」を閉鎖空間に集め、その人数を到底「生かすことの出来ぬ食料だけ」を与える。一時期流行った理不尽な携帯小説の様だが、流行った内容であるだけに需要はあった。文字で書かれる虚構では無く、当人の選択次第でその命が奪われる。それを、課金次第でリアルタイムで視聴出来る様にすることも、人工知能による提案だった。  その課金により、今まで中抜きをされた分の予算を埋める。中抜きをした罪人を見世物にすることで、幾らかの予算を埋める。中抜きされた分には到底届きはしないが、それでも幾らかは利益になった。なにより、それ以上の浪費が無いだけ、被害を防ぐことが出来た。  人工知能の個人判別能力と各所に設置されたカメラにより、何処まで逃げようと罪人は位置を特定された。特に海外逃亡をしようとした罪人に対しては、捕獲の際に「死にさえしなければ良い」と人工知能が指示を出した。この為、捕獲の為に雇われた者達は、様々な鬱憤を晴らすかの様に罪人を捕らえた。罪人が生きてさえいれば、捕獲した報酬としての金は入る。もし、加減を間違えれば罪に問われるが、それは「犯人が暴れた為やむなく」や「正当防衛」で処理されることが多かった。  そうして、危険な仕事を引き受けた者達にも、「罪人に裁きを与えるリアルタイム動画」の視聴権利が与えられた。金銭目的の者は動画にさしたる興味を持たなかったが、法令が改正されてから時間が経つと、無料で視聴することを目的として「罪人を捕らえる仕事」を選ぶ者達が増えた。すると、罪人を捕らえておく施設を増やさねばならなくなったが、それも「これまで税金を無駄遣いした挙げ句、放置された建造物」を改装するだけでことは済んだ。何分、その建物は税金をつぎ込まれて作られた為に堅牢で、罪人が逃げ出さないようにする仕組みさえ加えれば済んだからだった。  特定の建物に監視カメラや温湿度計、二酸化炭素濃度測定器等を罪人が壊せぬ位置に設置。食料を投げ込む穴だけを残し、罪人を集めた後で全ての入口は閉ざされた。そうしてから、全国民が課金次第で視聴出来る罪人観察動画は配信された。
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