「放課後の憧憬」

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 シャカシャカシャカ。別々に聴いている音楽が互いにイヤフォンからすこし零れるように漏れながら、瀧田が頬杖を突きながら読んでいた本を閉じ振り返る。 「エッチなこと、したことある?」 「は?」  思わず、間の抜けた声を漏らした。なに言ってるんだコイツ。少し黙ったが、考えたあとに、別にいいかと思いつつ。  同時に、少し話してみるかと観念した。「ある」 「母国に居たときな。ただ、何回しても、特別気持ちがいいとは思わなかったし、こんなもんかと思った」 「そうなんだ。私は、キスとかも実は、経験なくてさ。今、本で情事シーンが出てきてちょっと反応しちゃったから、気になって聞いた」  反応しちゃったって色々想像させるな、アホ。高校2年男子の性欲を見誤るなよ。「意外だ。お前、モテるだろ」性別問わず好かれているし、すっかり済ませていると思っていた、と言うと、ウーンと少し首をかしげて彼女は応える。  ちなみに僕は生まれがポーランドで、育ちが中学まで日本。からのポーランドに1年半、高校2年の春に日本にまた戻った、日本とポーランドとの混血だ。育ちは、日本と向こうで半々といったところだとおもう。 「ちょっとだけ、きもちわるいって。思っちゃうんだよね、恋愛感情って」 「潔癖?」 「うーん、ちがう。シモンとは、エッチなことしてみたいって思うし」 「へえ。……え?」
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