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吹っ飛びそうな理性は、揉まされている瀧田の豊かな胸から必死にすぐさま引っ張り戻し、これ以上は駄目だと一気に席を立って、距離を置いた。
「シモンが、ねらってた男性だから。」
小さく笑って口元を上げ、イタズラっぽい少女の表情で、瀧田は言う。
けれど、その瞳には真摯さが裏腹に宿っていた。
「……こういうのは、告白してからに、しろ」
「流れで付き合うとかすると思った」
「交際やセックスにおいては、少なくとも僕は、しっかりしておきたい。意外とうちの国の男は紳士的なんだよ、みえないだろうけど」
「みえるよ」瀧田は機嫌な様子で嬉しそうにはにかむ。
「最後まで、耐えてくれた。好き、シモン。付き合ってよ」
ちょっとそこまで付き合ってよみたいな言い方での告白かよ。どんな神経してるんだ、レンコンか。どこ切っても穴開いてるズボラな神経か。
こんな時でも、先ほどの最中も。シャカシャカシャカ……。別々に聴いていた音楽が互いにイヤフォンから漏れていた。
「……わかった、付き合うだが頼みがある。……非常に申し訳ないが、この状態の僕を、帰る前にどうにかしてくれ……はじけそうだ、くそ」
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