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「どうしたの?」
悩んでるぼくの横に、いつの間にか桃色の髪をした女の子が座っていた。桃色よりももう少しこい…ピンクという色かな。
見たことない子だし、頭に輪っかと背中に羽があるから、もしかして天の国の子?
天の国の子は上手に飛べるってきくし、何か教えてくれるかもしれない。
「ぼくだけ空を飛べなくて、みんなに笑われるんだ。」
「じゃ、練習すればいいんじゃない?」
練習は沢山してるけど…
「……い」
「い?って何?」
「高いところが怖いんだ…!」
女の子にこんな事を言うのは恥ずかしい…。
「恐いだけで、飛べるんだよね?」
「飛べても、怖いから動けなくなる…。」
「落っこちちゃうの?」
「うん…」
動けなくなっても飛んでいられる方法、天の国にはあるかもしれない。
「じゃあ、たかーい所から落ちちゃえばいいのに。」
「む、ぼくは真剣なんだぞ!」
「私だって。」
「ぼくをからかってるくせに。」
この子もみんなと同じ、ぼくをバカにするんだ。相談しなきゃよかった!
「八百万の神様の一族が空から落っこちたら、もう人間の国には残れないのよ。」
「しってるよ。だから、飛べない!」
落ちたらぼくは水神になれなくなる。うまれた泉にもどれなくなる。
「落っこちちゃえば、天の国にこれるのに…、つまんない。」
「ん?何か言った?」
ボソボソと小さな声が聞こえたけど、何をいってるのかはわからなかった。
「何でもない。一緒に練習しよう。」
一緒に練習…?
「ん?一緒にって、君も飛べないの?」
「うん。」
天の国にも飛べない子がいる!
飛べるのに飛べないのはぼくだけじゃなかった!
「じゃあ、一緒に練習してやらなくもない。」
「じゃあ、一緒に練習しない。」
「……むむ…」
1人で練習は寂しい…。
「一緒に練習してください。」
む、お願いしてしまった。
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