れんしゅう

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うーん、 桃ちゃんは天の国の女の子。飛べなかったらどうなるんだろう。 「桃ちゃんは飛べなくてもお家に帰れるの?」 「帰れるけど、もうここには来れないかもしれない。」 「どうして?」 「今日は特別に連れてきてもらったの。いつもは天の国から出られないしね。」 「じゃあ、もう会えないの?」 「うん。」 「一緒に練習しようって言ったのに?」 「うん。」 「絶対に会えないの?」 「……」 桃ちゃんが何も答えなくなった。 「……ぼくが飛べたら会いにいけるの?」 「天の国の門は1年に一回、1日しか開かないの。」 「飛べるようになっても、1日しか会えないの?」 せっかくお友達が出来たのに、会えなくなるのはさみしい。 「銀ちゃんが水神の竜じゃなくて、水神様になるか、空から落っこちたら毎日会えるよ。」 「ぼくが水神様に!?」 水神様は水神の竜の中で一番偉い存在。 「飛べないぼくにはムリだよ。」 「だったら、落っこちてよ。」 「……」 「それが嫌なら、飛べるようになって。水神様になって、私を迎えに来てよ。それまでは毎年1日だけここで会おう。」 「あっ…」 桃ちゃんは大きな翼の生えた女の人に連れていかれてしまった。 「またね。」 「うん!」 桃ちゃんに会うのは来年。 それまでに飛べるようになるかな…。 でも、1年に1度じゃなくて沢山会いたいから、これから毎日がんばろう。 いっぱいがんばって、ぼくは水神様になるんだ!
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