(2)

1/1
前へ
/3ページ
次へ

(2)

これは本当にあった怖い話。 おれの部屋では、ときどき不思議なことが起こる。最初は些細なことだった。リモコンの位置が変わっていたり、部屋がなんとなく綺麗になってる気がする日があるのだ。でも、自分はずぼらなので、今日はこんなふうに置いたっけな?なんて思って、別に気にも留めなかった。 しかしある日から、溜めていた洗濯物が綺麗な状態でタンスへ戻っていたり、冷蔵庫に見覚えのないご飯が入っていたりと、確実に自分ではないことが起こりはじめた。しまいには、差し入れのようなものが机に置いてある始末である。 さすがに恐怖を感じた。よくよく考えたら、だれもいないはずのこの部屋で、なぜか視線を感じることもあった。だが、気のせいだろうと放っていたが、もしかしてどこかから盗撮でもされているのか? 部屋にいたくなくて、友人に連絡をした。 「よう、久しぶりだな」 "おぅ、久しぶり〜" 「今日はなんか予定ある?ちょっと家に居たくなくてさ」 "いやー、今バイト中でシフトが夜までなんだよな。明後日とかなら空いてるけど、お前が仕事だろ。悪りぃな。" 「そっか、じゃあまた予定合わせて旅行でも行こうぜ」 "お、いいね〜。じゃあ次は海外に行こうぜ。楽しみにしてるわ。じゃあな。" 電話だけでも少しは気晴らしになったが、結局誘いは断られてしまったため、今日は早くに寝てしまうことにした。 いつも通り仕事に行くと、顔に出てしまっていたか、後輩の子がとても心配したように声をかけてきた。 「先輩どうしました。顔色が悪いですけど、体調悪いですか?」 我慢の限界だった。後輩に家で起きたことを話したところ、じゃあ、私といろいろ出かけませんか?休日やることなくて暇してたんです。と、提案してくれた。 それから休日はなるべく2人で外に出て遊び、連休も旅行に行って、極力自宅にいないように心がけた。また、後輩のアドバイスでSNSに旅行の様子などを載せるようにした。話を聞いていると、部屋を出入りして家事をやっていったり、部屋を監視したりすることで、付き合っていると勘違いしてるストーカーの仕業じゃないかと推理してくれたからだ。 だが、少し経ってから気づいたのだが、この作戦は後輩が狙われる可能性があるのではないか。諦めてくれればいいが、そうでなかった場合、ドラマとかでは襲われたりしてるよな。この考えを後輩に話した。 もういっそ決着をつけましょう。という、後輩の言葉で、おれも決心がついた。いつまでも恐怖を感じながら暮らすのもうんざりだ。 そこで、後輩におれの部屋に来てもらった。ストーカーも部屋の様子を見ているはずだから、2人でいる姿を見たら飛んでくるのでは、という後輩の作戦だ。いつ来てもいいように、スマホは警察にすぐ繋がるようにしてある。 しばらくして、玄関の鍵が開く音がした。ストーカーが部屋に入ってきたが、おれは全く見覚えのないやつだった。そいつは包丁を後輩に向けながら、もう片方のスマホでおれたちを撮っている。危害を加える気が丸見えだったため、警察に連絡しようしたところ、後輩がおれの手を掴み制止した。 なぜなのか聞こうとした。 すると、なぜか後輩の口角が少し上がっているように見えた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加