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これは本当にあった怖い話。
おれの部屋では、ときどき不思議なことが起こる。最初は些細なことだった。リモコンの位置が変わっていたり、部屋がなんとなく綺麗になってる気がする日があるのだ。でも、自分はずぼらなので、今日はこんなふうに置いたっけな?なんて思って、別に気にも留めなかった。
しかしある日から、溜めていた洗濯物が綺麗な状態でタンスへ戻っていたり、冷蔵庫に見覚えのないご飯が入っていたりと、確実に自分ではないことが起こりはじめた。しまいには、差し入れのようなものが机に置いてある始末である。
さすがに恐怖を感じた。よくよく考えたら、だれもいないはずのこの部屋で、なぜか視線を感じることもあった。だが、気のせいだろうと放っていたが、もしかしてどこかから盗撮でもされているのか?
部屋にいたくなくて、友人に連絡をした。
「よう、久しぶりだな」
"おぅ、久しぶり〜"
「今日はなんか予定ある?ちょっと家に居たくなくてさ」
"いやー、今バイト中でシフトが夜までなんだよな。明後日とかなら空いてるけど、お前が仕事だろ。悪りぃな。"
「そっか、じゃあまた予定合わせて旅行でも行こうぜ」
"お、いいね〜。じゃあ次は海外に行こうぜ。楽しみにしてるわ。じゃあな。"
電話だけでも少しは気晴らしになったが、結局誘いは断られてしまったため、今日は早くに寝てしまうことにした。
いつも通り仕事に行くと、顔に出てしまっていたか、後輩の子がとても心配したように声をかけてきた。
「先輩どうしました。顔色が悪いですけど、体調悪いですか?」
我慢の限界だった。後輩に家で起きたことを話したところ、じゃあ、私といろいろ出かけませんか?休日やることなくて暇してたんです。と、提案してくれた。
それから休日はなるべく2人で外に出て遊び、連休も旅行に行って、極力自宅にいないように心がけた。また、後輩のアドバイスでSNSに旅行の様子などを載せるようにした。話を聞いていると、部屋を出入りして家事をやっていったり、部屋を監視したりすることで、付き合っていると勘違いしてるストーカーの仕業じゃないかと推理してくれたからだ。
だが、少し経ってから気づいたのだが、この作戦は後輩が狙われる可能性があるのではないか。諦めてくれればいいが、そうでなかった場合、ドラマとかでは襲われたりしてるよな。この考えを後輩に話した。
もういっそ決着をつけましょう。という、後輩の言葉で、おれも決心がついた。いつまでも恐怖を感じながら暮らすのもうんざりだ。
そこで、後輩におれの部屋に来てもらった。ストーカーも部屋の様子を見ているはずだから、2人でいる姿を見たら飛んでくるのでは、という後輩の作戦だ。いつ来てもいいように、スマホは警察にすぐ繋がるようにしてある。
しばらくして、玄関の鍵が開く音がした。ストーカーが部屋に入ってきたが、おれは全く見覚えのないやつだった。そいつは包丁を後輩に向けながら、もう片方のスマホでおれたちを撮っている。危害を加える気が丸見えだったため、警察に連絡しようしたところ、後輩がおれの手を掴み制止した。
なぜなのか聞こうとした。
すると、なぜか後輩の口角が少し上がっているように見えた。
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