悪習

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 同窓会のお知らせ。  そんな葉書が届いたのは梅雨時のじめっとした夕方のことだった。職場である『よつばスーパー』から自転車で帰ってきた(さくら)は、湿気でべたつく肌に不快感を露にしながら葉書を見つめた。  青枝(あおえ)小学校の同窓会か……。  桜は現在、三十二歳。卒業してもう二十年になる。どうして今になってと思いながら葉書をよく見ると、皆で埋めたタイムカプセルを掘り起こしませんか? の一文があった。そういえば、卒業前に六年生全員で埋めた覚えがある。おとなになった自分、あるいはお友達へ手紙を書きましょうというものだった。  すっかりと忘れていた記憶が徐々によみがえり、懐かしさと共にじっとりと黒い染みが広がっていくようでもあった。
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