悪習

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 そんな……まさか……! 『そんな人は、ずっとずっと誰かの共犯者なのよ』 『これからもよろしくね』  自分は一体手伝わされたのだろう。  自分は一体埋める手伝いをしたのだろう。  指紋がべったりとついているであろうスコップは愛梨が持っていってしまった。  特に深くは考えず、手伝ってと言われたから手伝ってしまった。  思えば、桜の人生はずっとそうだった。断れない、ノーと言えない、人に注意ができない、いつも流されて見て見ぬフリ。勇気がないなんて言い訳に過ぎない。間違っているものは間違っているのだ。それを口にせず、黙って同意を示すことは、やはり愛梨の言うように同罪なのだ。  とはいえ、である。  もし本当に愛梨が、あの二人を殺して埋めていたとしても、自分がそれを手伝う形となったとしても……悪いのは愛梨じゃないの。知っていたなら罪に問われるかもしれないが、自分はなにも知らないのだ。それに、あそこに二人の死体が埋まっているかどうかも定かではない。
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