悪習

2/18
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 青枝小学校では二年と四年の時にクラス替えがある。せっかく仲良くなった友達と別々のクラスになるのは嫌だなと、四年に進級する際、桜はもやもやとそんなことを思っていた。人見知りというわけではないのだが、性格はおとなしいほうで自分の意見をハッキリと言えた試しがない。だから、クラス替え自体が億劫であったし、自己紹介のことを考えると気が遠くなる。  クラスが分かれてもずっと友達だからね!  光希(みつき)はそう言っていた。桜も頷いて「友達だよ!」と同じ言葉を返した。でも、それが本当でないことくらい桜にもわかっている。二年生に進級する時だって由香(ゆか)は光希と同じことを言っていた。  ちがうクラスになっても仲良くしようね!  約束だよと指切りまで交わした。けれど、由香とは別々のクラスになり、それ以来、ほとんど口を聞いていない。きっと光希ともそうなる。クラスが離れれば、またそこで新しい友達を作り、新しいグループに所属する。女の子とはそういうものだ。つまりクラス替えとは、またゼロからの再出発。自己紹介にはじまり、挨拶を交わすところからのやり直し。桜はそれが嫌で堪らなかった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!