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そして──案の定、光希とは別々のクラスになり、桜は緊張で声を裏返しながらなんとか自己紹介を乗り切った。担任は江田梨々香先生。隣の席は北川杏子という、今まで一度も同じクラスになったことのない生徒だった。
「黒野さん、これからよろしくね」
ランドセルから教科書を取り出しながら杏子が言う。桜よりも小柄で目のぱっちりとした女の子。
「う、うん。よろしくね」
ずっと後悔している。いや、神様を憎んでいる。どうして、よりにもよって北川杏子と隣の席になったのか。黒野と北川だから、出席番号が前後だったというのも不運だった。
だが、この時の桜は知る由もない。
北川杏子が善人の面をかぶった、タチの悪い性悪女であることを。
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