悪習

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 席が隣ということもあって桜と杏子は自然に仲良くなっていった。誰とでも物怖じせず愛想よく話す杏子と一緒にいると、桜の周りにも人が集まってくる。だから、最初はほっとしていた。自分から積極的に誰かに話しかけずとも、杏子が人を連れてくる。自分は杏子たちの話に、ただ相づちを打っていれば良い。とても楽だった。  しかし、四年生になって半年も経つと、だんだんと桜は杏子に違和感を覚えるようになっていった。 「枝豆って、ぜーんぜん生徒の話、聞いてないよねぇ」 「あー、わかる。うんうんて言いながら、ぜんぜん相手にしてないみたいな?」 「それ! この間もさ、わざわざプリント運ぶの手伝ってあげたのに、わたしの顔もみないで『ありがとね』って。そういうの大人としてどうかなって思う」  枝豆。それは担任の江田梨々香のことだ。『えだ』という名前をもじって『枝豆』というあだ名をつけたのは杏子で、ことあるごとに文句を言っている。
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