悪習

7/18

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 そして事件は起きた。杏子が悪口を言っていることが愛梨にバレたのだ。 「北川さん、ごめんね」  陰でいろいろと言われていることを知った愛梨は、杏子に対し怒るどころか、不快な想いをさせて悪かったと謝ってきた。これには、さすがの杏子も面食らったようでモゴモゴと言い訳をしながらも、決して愛梨に謝ることはしなかった。  それ以来、愛梨はだんだんと元気をなくしていった。事情を知らない愛梨の友人たちは、隣のクラスの男子が愛梨をいじめたから元気がないのだと勘違いし、口々にその男子の悪口を言い募った。けれど、どんなに周りがヒートアップしても、ついぞ愛梨は口を割らなかった。原因は隣のクラスの男子ではなく、同じクラスの北川杏子だとは決して口にせず──五年生に進級する頃には、愛梨の姿は教室から消えていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加