その刹那的な出逢いは久遠の繋がりとなるか

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 仰向けに寝転んだままの香月の膨らんだ胸先。その周りを一条が指先で優しく撫でれば、香月は小さく身を捩ってねだるように胸を反らす。その愛らしい反応には気付かない振りをして、一条は擽るように触れ続ける。  コマンドとお仕置きで火照った体を持て余し、香月は少し焦らされただけで気が狂いそうだった。周りばかり触っていないで胸先に触れてほしい。Subの欲求解消の度にDomから触れられてすっかり感じやすくなった胸先をいじって欲しい。香月はなんとか触ってもらおうと身を捩るが、一条はニコニコと機嫌よく笑いながらそれを躱してしまう。  「ダメだよ、おねだりはちゃんと言葉にしなきゃ」  そう言われて香月は眉を下げた。あまりにも相性がよくて忘れてしまうが一条は直属ではないにしろ上司なのだ。時折その事実が脳裏を過って恥ずかしい。  羞恥に頬を赤く染めて口ごもる香月を見て、一条は困ったように眉を下げて笑った。それから優しく、割れ物に対するかのように優しく、香月の頬を撫でる。  「……Say(言いなさい)」  コマンドを使われるともう堪らない。一条が上司だなんてこともどうでもよくなってしまう。香月の脊髄をビリビリと快楽が駆け抜ける。腰が重くなった気がした。膨らんだ熱がリングに押さえ込まれて苦しい。痛い。気持ちいい。  「胸……触って、ください……」  「触ってるよ?」  「違っ……ちく、び、触ってほしい……」  「触るだけでいいの?」  「引っ掻いたり、摘んだり、してほしい……痛いの、がほしい……」  涙目で一条を見上げながら身を捩ってねだれば、一条は優しく香月のお腹を撫でて胸先をきゅうと摘む。  「ぃああァ……ッ!」  焦らされた胸先への突然の強い刺激。香月はその身を仰け反らせて嬌声を上げた。一条が摘んだその胸先を磨り潰すように力を込めたり引っ掻いたりと弄ぶ。  「い゛っ!んん……ァああ!……ぁ、あっ、ンっ……!」  その全てが気持ちいいと、香月は甘く啼くばかりだ。  摘まれ、潰され、掻かれ、時には食まれ、吸われ、噛まれ――。胸先ばかりを徹底的に虐め抜かれた香月は、ぐずぐずに蕩けきって理性を手放していた。  「ひぁッ!ぁ、んあっ!いち、じょ、ぉさ……!」  「うん、なあに?」  「なかぁ……もっ、俺……欲しい……中にほしい……っ!」  先走りさえ出すことができない下肢の熱を一条の太腿に擦り付けながら、香月はハッハッと荒い呼吸を繰り返した。犬のようなそれがまた愛おしくて、一条はそっと目を細めた。  「Crawl(四つん這いになって)」  香月はコマンドに従い、快楽で力の抜けた体を本能だけで動かして一条に尻を向ける形で四つん這いになる。  お仕置きで叩かれ赤くなった尻のその谷間。大多数の人々は排泄でしか使わない孔穴が、ヒクヒクと収縮を繰り返している。一条はまたゴクリと喉を鳴らし、熱い吐息を零す。  一条が潤滑油を手に取り孔穴に触れれば、最初から念入りに(ほぐ)していたらしく、そこは柔らかく、難なく彼の指を呑み込んだ。腹の側にあるしこりに触れた瞬間、大きく香月の腰が跳ねた。  「んァあっ!」  ただ触れただけ。それだけで香月は危うく達してしまいそうだった。ふるふると(かぶり)を振る。  「だ、だめ……そこ、イッちゃう……慣らさなくても入る、から……もう入れて……お願い、します」  「……じゃあ、遠慮なく」  正直、一条ももう限界だった。香月の願いに甘えて指を引き抜き、自身の膨れ上がった熱を孔穴に充てがう。香月が身構える隙もなく、一気に奥まで挿入してしまう。その質量と余りに強い快楽に目を見開き、香月は甘い悲鳴を部屋に響かせながら腰を震わせた。  「っ、あァあ゛あ゛ッ――!」  「くッ……!」  明らかに絶頂を迎えている香月の痙攣する腰を無遠慮に掴み、一条は本能のままに腰を振る。奥へ、もっと奥へと、硬く膨らむ熱で香月の中を貫く。  「ひぃッ!ぁ゛あッ!やぁうっ!待っ、ああァ!イぐの、止まんにゃ、ぁあァん゛!」  「はっ、可愛い……好きなだけイッていいからね……香月さん、すき、好きだよ……っ!」  腕の力が抜けた香月が体勢を崩し、尻だけを突き出す格好になってしまった。今まで関係を持ってきたDomでは感じたことのなかった余りに強烈な快楽に恐怖さえ湧いて、香月は制止をかけるが、セーフワードではないそれに夢中になっている一条が止まるはずもなく。むしろその様子が更に彼の本能を刺激し、香月の腹奥を穿つ速度も深度も上がる。  ――ぐぷ、  行為中に聞いたことのなかった音が、香月の腹奥で鳴った気がした。直後、香月は雷にでも打たれたかと錯覚するほどの衝撃が全身を駆け抜けた。  「ぉ゛、――――ッ!?」  香月が叫んだつもりだった嬌声は、ほとんど音にならなかった。眼前が白んでチカチカと光る。思わず逃げを打とうとシーツを掴んだ気がしたが、手に力が入ったかさえもわからない。  己の意思など全く関係なく、今までの人生で初めて経験する深さの絶頂に呑まれた。勝手に痙攣する総身、腹奥の一番深いところに異物が吐き出されたらしき僅かな感覚、ただそこで一条が腰を止めただけで止め処なく訪れる絶頂の波。  大きく跳ねようとする香月の身体を押さえつけ、一条は香月の肩に思い切り噛み付く。  「い゛ぎっ!?んんんん――ッ!」  香月は噛み付かれた痛みに生理的な涙を零し、痛みに反応して中を締め付けてしまったことで再び絶頂した。  幾度目かの絶頂の折、その波が引くと同時に香月が意識を手放したことで、一条はやっと香月の中から出ていった。
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