優しい観客と万雷の残響音

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先輩方が拍手を送る。澄んだ音楽。とても晴れやかに聞こえる感謝の音色。 それが鳴りやみ、主任先生が言った。 「卒業生答辞」 麻美先輩が席から立ち上がった。歩く姿も、階段を上る姿も主演女優だ。あたしたちは全員、この瞬間だけを待っていた。 見慣れた制服でさえ(きら)めくドレスに見える。先輩がそこにいるだけで、あたしたちは観客となる。たとえ用意された言葉でも嬉しいと思える。それが麻美先輩の持つ力なんだ。 先輩は少しだけマイクの位置を直す。 みんなを見渡し、そして、微笑んだ。 「答辞」 講堂が一気に静まる。すると麻美先輩はおどけた感じに笑った。
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