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「では、改めて、私から言おう。クラス委員として、これからもよろしく」
天乃はさっと右手を出す。
「ああ、よろしく頼む」
まだ少しドキドキしている鼓動を抑えきれずに、俺も右手を出す。
あと数㎝で手が触れるという瞬間に、天乃の手がチョキになる。
「なにっ?」
「悪いな、地村」
「なにが!?」
「クラスでジャンケン最弱の座は、地村に譲るよ」
「はあっ?」
天乃はさっさと出した手を引っ込める。
「おいっ!」
「じゃあ、また明日」
そう言うと、ショートボブを揺らして踵を返す。
そして振り返り、
「ほらな、楽しくなりそうだ」
そう言って、今日一番の満足げな笑みを、俺に向けたのだった。
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