いつしか愛は毒になる

11/59
前へ
/59ページ
次へ
杏子が綺麗にネイルの施された指先で、俺のネクタイの結び目をツンと突いた。 「雅也ひどーい、わざと奥さんの飲み物に避妊薬入れて、子供だって作ってないくせに」 「おいおい、俺以外の前でそれ言うなよ。それに最近、早苗のことなんてとても抱く気になれなくてね」 「そんなこと言って、ほんとに早苗さんのこと抱いてない?胸は結構大きくなかった?」 「やめろよ。抱くなんてありえないね、あんな辛気臭い女」 「あはは。ひっど。ね、雅也、これ見てー」 杏子が甘えた声でスマホの画面をこちらに向ける。 「セリールのバック。新作だって、可愛いでしょ?」 「しょうがないな。今度買って杏子の家に持っていくよ」 俺はするりと杏子の頬に唇を寄せた。 「で、いつ家にいったらいいんだ?」 「ふふ、今日は都合悪いけど明日なら」 杏子の甘い声と匂いに誘われるように、俺は杏子を真正面から抱き寄せた。 「おいで」 「もう、明日まで待てないの?」 「朝から杏子が魅力的すぎるんだよ」 「ふふっ……しょうがないわね」 「声我慢しろよ」 そう言って俺は杏子と唇を重ねると、すぐに杏子のブラウスのボタンに手をかけた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

585人が本棚に入れています
本棚に追加