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今から一週間前。
『依頼完了しますか?』
私は自身のスマホに浮かんだ文言を眺めたまま、しばらく『OK』と『CANCEL』を指先で行ったり来たりを繰り返していた。
(このボタンを押したら……)
私はテレビボードの上に飾ってある写真立てに目を遣った。そこには銀色のタキシードをきた夫の雅也とウェディングドレスを纏った私が、幸せそうに微笑んでいる。
(結婚したあの日から……三年か)
私は、雅也と過ごしてきたこの三年間を走馬灯のように思い出す。
その記憶の中に結婚前のように優しく微笑んでくれた雅也はいない。思い出すのは雅也の不機嫌な顔と、怒りに身を任せて私に暴力をふるう冷たい眼差しだけだ。
「もう、こんな生活……我慢できない」
いつかまた、雅也はきっと笑ってくれる。優しく抱きしめてくれる。そう言い聞かせて良き妻になれるよう努力してきたがもう限界だ。
(誰でもいい……お願い、助けて……)
私は祈るような気持ちで『OK』ボタンを押す。
押したと同時にリビングの時計が深夜0時を丁度を指さした。
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