いつしか愛は毒になる

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「雅也の……ネクタイピンを探してたのよ」 「ネクタイピンだと?」 杏子が困ったような顔をしながら、俺を見上げた。   「……だって今日も朝から高坂社長と現場視察でしょう?」 俺は舌打ちをした。 「その件なら破談だ! ネクタイピンも、もう必要ないっ!」 俺は手に持っていたビジネスバッグをデスクに叩きつけるように置いた。 「雅也それどういうことなのっ?!」 「杏子、河本麗華を徹底的に調べ上げろ! あいつは何か企んでる! この俺を嵌めたんだ!」 「え? 嵌めたって……」 戸惑いを隠せない杏子に俺は髪を掻き上げながら唇を噛み締める。 「とにかく急ぎで調べろ! 探偵を使っても構わないっ! わかったら、さっさと行け!」 俺はビジネスバッグに入ったままになっていた、都市開発の図面を取り出すと杏子に向かって投げつけた。 「きゃっ……」 バサバサと書類が舞い散る様と、ピンヒールを鳴らして慌てて出て行く杏子を眺めながら俺は拳を固く握りしめた。
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