いつしか愛は毒になる

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雅也が逮捕されてから、瞬く間に日々が過ぎ去っていった。私は名ばかりだが新山コーポレーションの理事の肩書きがあった。また亡き父のときから務めてくれている重役も多かったため、社内の細々とした業務処理の承認や取引先への謝罪へ行ったりと多忙を極めた。 そしてようやく会社が少し落ち着いた私は、雅也が拘留されている警察署へと出向いた。 ──雅也に別れを告げるために。 簡単な面会受付を済ませ、無機質な扉を開ければ髭を生やし、やつれた姿の雅也がすでに座っていた。  「……雅也さん」 「早苗っ!」 雅也はガラス越しギリギリに顔を寄せると、見たこともない情けない声を出した。 「来てくれたんだな! ありがとうっ……保釈金は用意できたか? 俺はいつここからでられるんだ?」 「…………」 「おいっ! 聞いてるのか? 金は用意したんだろうな? これは非常事態だぞ! お前の株を売ってでも家を売ってでもいいかから用意するんだ!」 唾がガラスに飛び散るのも構わず雅也がまくし立てる。 「えぇ、ちゃんと保釈金は用意したから……」 私の言葉に雅也が、ぱっと目を輝かせた。
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