いつしか愛は毒になる

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早苗が目を丸くするのを眺めながら私はストローでアイスコーヒーをひとくち吸い込む。 「それが、とんでもないDV夫だったみたいで。別れた後も元旦那さんは杏子さんに執着してて、杏子さんは居場所が分からないように住所はちょこちょこ変えてたみたいよ。さらに元旦那さんの借金まで肩代わりしてたらしくて……早苗さんのこんなこと言ってもいいのか分からないけれど……雅也さんとも関係はお金が目当てだったみたいね。買ってもらったブランド品も直ぐ質屋に入れてたようだし」 「そう。でも、杏子さんはなんで危ない橋を渡ってまで協力してくれたの?」 「あ、それね。杏子さんには同情しちゃう部分もあるけど、こっちも仕事だから。杏子さんには悪いけど、元旦那さんに居場所を知られたくなかったら、ちょっと雅也さんのパソコン弄ってくれない?ってお願いしたのよ」 早苗が深く頷くと、ほっとしたように私に笑顔を向けた。 「すべて聞いて……なんか本当に終わったんだなって」 「そうね、この度はご依頼ありがとうございました」 私が唇を持ち上げると早苗も晴れ晴れとした笑顔をこちらに向けた。そしてそっと早苗が自身のお腹に触れる。早苗の抱えている鞄にはマタニティマークがぶら下がっている。 「早苗さん、余計なお世話だけど……お腹の子は……雅也さんの?」
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