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どこまでも、どこまでも。
澄み渡る蒼が目に沁みた。
流れゆく雲のかけらを、額にかざした手で太陽の光を遮りながら追った。
強く吹き付ける風が、夏の匂いを運んでくる。
ジメジメした梅雨が明けた。
木々の葉っぱの青い香りとお日さまの灼熱で焼けたアスファルトの匂い。
全部が、あの日とはまるで違っていた。
巡り巡って、季節はやってくる。
だけど、過ぎたはずの春も、夏も、秋も冬も、この場所に来るとまた、昨日のことのように思い出すんだ。
小さい頃にこの場所で出会ったあの子は、あたしのヒーローだった。
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