1.ダメ男だと分かっているけども

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1.ダメ男だと分かっているけども

 酒飲みで、お金も無いのにギャンブルが好きで、喧嘩っ早くてすぐに仕事はクビになるし、浮気もする。こんな奴のどこが良くて私は一緒にいるのだろうか。  私の名前は河合絵里奈。二十八歳のカフェでバイトをしているフリーターだ。  対すること同棲中の私の彼氏は、真野幸太郎(こうたろう)三十歳、現在求職中の無職だ。 「ねぇ、幸太郎。いくら仕事行かないからってさ、そろそろ起きなよ」  昼過ぎの二時、そう私はダメ男を起こす。 「んー。昨日ゲームに夢中になっちゃって寝不足なんだよ~。あと一時間寝かせてくれ~」  寝ぼけてぐずぐず言っている三十路男を見せつけられる私は心底情けない気持ちになる。 「いいから、晴れてるし、掃除したいのよ。せっかく今日は私もバイト休みなんだしさ」 「あー、もー、じゃぁキスしてくれなきゃ起きられない」  私は軽く幸太郎にキスをする。それでスイッチが入ったのか、なし崩し的にセックスをする。  幸太郎は、いわゆるだけど、セックスだけはべらぼうに上手い。要は身体の相性が良いのだ。これは私がこいつから離れられない理由のひとつではある。 「俺たちやっぱ運命のふたりだよな。こんなにセックスが気持ちいいんだもん」  そうね……と言いかけて私は口をつぐんだ。私は頭では分かっているのだ。仕事も続かないダメ男とは離れた方が良いって。 でも、無難に二回して、いよいよ二人とも行動開始をする。私は掃除、幸太郎は職探しだ。でも、今時は求職活動も主にネットだ。私から見たらただゴロゴロしてスマホをいじくっているようにしか見えない。
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