119人が本棚に入れています
本棚に追加
文哉くんはそこまで話すと、
「今、話したのは、親がおる場合やけど、親がいない子はもっと可哀そうやな」
文哉くんが言うのは、どこからか親のいない子供を連れてきては、どこかに子供を売っているということです。つまり、売れるまではあの檻の中に入れられているということです。
その「どこかからか」と「どこかに」が漠然として分かりません。要するに文哉くんはそこまでしか分からないということです。
そんな話を聞いていると、子どもに親がいてもいなくても、子供の運命は同じような気がします。
僕は文哉くんに、
「僕はあそこにいるのはサーカスの団員の子供たちで、何かの訓練をしているのかと勝手に思っていたよ」と苦笑しました。
文哉くんの話を聞くと、
すると文哉くんは、「陽一は甘いな」と言って、「サーカスの子らもおるかもしれんけど、あそこでは訓練はしてないと思うぞ」と続けました。
ということは僕の想像もまんざら外れではなかったようです。
話しながら僕はふと思いました。
「あそこの人らって、何をして暮らしているんやろ?」
つまり収入源です。
すると文哉くんは「それはな」と、さっきよりも口調を強くして、
「お仕置き・・その代金や」と言いました。
「お仕置きの代金?」
また突拍子もない言葉が出てきたものです。
最初のコメントを投稿しよう!