文哉くんの話

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 具体的には文哉くんも分からないみたいですが、僕はアケミちゃんが言っていた「学校に行きたい」という言葉が引っ掛かっていました。  あの集落から学校に通う・・可能なようですが、とてもそんな場面を想像することはできませんでした。  続けて文哉くんはもっと怖いことを言いました。 「子供を預けている親がいる家はまだええんや。問題はその先や」 「その先の問題?」 「ああ、子どもの親がどこかに消えた場合や」  子供を預けている親がいなくなった場合・・その時、あの集落の人たちは子供をどうするのか?  その疑問に文哉くんはこう言いました。 「子供は、あの集落にずっとおり続けるか、どこかにやられてしまうか・・どっちかやな」
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