文哉くんの話

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 文哉くんはそこまで話すと、 「今、話したのは、親がおる場合やけど、親がいない子はもっと可哀そうやな」  文哉くんが言うのは、どこからか親のいない子供を連れてきては、どこかに子供を売っているということです。つまり、売れるまではあの檻の中に入れられているということです。  その「どこかからか」と「どこかに」が漠然として分かりません。要するに文哉くんはそこまでしか分からないということです。  そんな話を聞いていると、子どもに親がいてもいなくても、子供の運命は同じような気がします。  僕は文哉くんに、 「僕はあそこにいるのはサーカスの団員の子供たちで、何かの訓練をしているのかと勝手に思っていたよ」と苦笑しました。  文哉くんの話を聞くと、  すると文哉くんは、「陽一は甘いな」と言って、「サーカスの子らもおるかもしれんけど、あそこでは訓練はしてないと思うぞ」と続けました。  ということは僕の想像もまんざら外れではなかったようです。  話しながら僕はふと思いました。 「あそこの人らって、何をして暮らしているんやろ?」  つまり収入源です。  すると文哉くんは「それはな」と、さっきよりも口調を強くして、 「お仕置き・・その代金や」と言いました。 「お仕置きの代金?」  また突拍子もない言葉が出てきたものです。
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