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「松下くんもあの集落に行ったことがあるんか?」
僕が松下くんに訊くと、文哉くんが、「俺も松下も二人とも行ったことはないで。行ったんは陽一だけや」と言いました。
さっきの話を聞いているとてっきり文哉くんも行ったことがあるんだと思ってましたが、違うようです。
「俺も松下も大人の噂話を聞いただけや」
文哉くんに依ると、商店街の中では集落の噂はけっこう出るそうです。
もしかすると商店街の人も一部はあそこと繋がりがあるのかもしれません。
商店街の人たちはその子供たちに、「川の上には行かないように」と、よく言っているらしいです。
「それで、お仕置きの代金って、何なん?」
文哉くんに訊くと、松下くんも「あ、その話、僕も知ってるよ」と言って、
「あの仏塔のことやろ」と意味不明のことを言いました。
それを具体的に説明するように文哉くんが、
「さっき、親に金がなくて集落に子供を預ける話をしたけどな」文哉くんはそう切り出し、「何も親に金がない場合だけじゃないみたいやで」と意味有り気に言いました。
お金があるのに、集落に子供を預ける? それはどんな人たちなのでしょうか?
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