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その日も川を上がりながら、
「ちょっと変わった場所があるけど、行ってみるか?」と父が言いました。
父は僕の返事を待つことなくどんどん先に進みました。
僕は父に促されるまま、更に川を上がることになったのです。
川を上がると言っても、川の中を歩くわけではありません。川伝いにある道を歩くわけです。ですから、時折、川から離れたり、再び近づいたりを繰り返しながら歩きます。
かなり急勾配なので次第に疲れてきます。
息が切れそうでしたし、足が痛くなりました。
ですが父は息子を鍛える目的もあるのか、「男ならこれくらいで弱音を吐くんやない!」と言ってどんどん先に行きます。
ようやく車が通れるほどの道が更に狭くなり、足元もぬかるみがあったり、岩場が続いたりしました。へとへとです。
途中には茂みに覆われた道を通ったりしました。
服に枯れ枝が引っ掛かったりしました。
ですけど、父に言われた通り、そんなことで心を折ることなく歩き続けました。
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