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集落
◆集落
更に歩くと、視界がぱっと明るくなりました。
目の前に、荒涼とした土地が広がっていたのです。
そこは集落のようでした。
トタン屋根の平屋・・バラック小屋がずらりと並んでいました。綺麗なトタン屋根ではありません。所々破れていますし、壁にはヒビが入り、窓も割れている箇所が幾つもあります。
そんな家が不規則に点在するようにあります。
人が住んでいるようですが、子供の目には廃墟のように映りました。
僕は、もっと歩くと展望台のような景色が綺麗に見える場所に出るものと思ってましたが、その期待は見事に裏切られました。
景色は綺麗でも何でもなく、辺り一帯が灰色の風景でした。
そこは、土埃が舞い、雑草が多い茂り、至る所に瓦礫や土砂が無造作に積まれた異様な雰囲気のする場所だったのです。
しかも強烈な異臭が辺りに漂っています。今までに嗅いだことのない匂いです。
鼻を摘まんでも防ぐことのできない臭いです。
父に「臭い!」と訴えると、
「我慢せえ」と言われました。それから、「あそこに住んでる人たちに、絶対に『臭い』と言ったらあかんぞ」と注意されました。
父はここに知り合いの人でもいるのかと思いましたが、それも違うようです。
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