記憶を辿る(前書きにかえて)

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記憶を辿る(前書きにかえて)

「檻の中の少女」 ~ 幼き日の記憶(短編) ◆記憶を辿る(前書きにかえて)  幼い頃の思い出って、記憶があやふやなところがありませんか?  それが本当にあった出来事なのか、それとも、他の記憶と混ざり合って、勝手に本当の出来事だと思い込んでいるのか?  僕にもそんな思い出があります。  数ある思い出の中で、あれは本当にあった出来事なのか? それとも何かの出来事を夢で見ることにより、勝手に自分の思い出として置き換えているのではないか? そんな思い出があります。  けれど、それが本当にあった事なのか、確かめようもありません。  誰かに訊こうにも、その当時の人の記憶も定かではないし、まともな話であれば聞いてくれるかもしれませんが、突拍子もない話でしたら、誰も聞いてくれはしないでしょう。  そんな不明瞭な記憶の中でも、特に印象に残っている思い出があります。  それは、ある場所とそこにいた人間たちのことです。  人間たち・・それは子供でした。  子供たちは、ある小屋・・「檻」のような所で飼われていました。
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