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終りのときが来ました
そうして彼女は一年ものあいだ、この地球をぼくの家から支配し続けました。まあそれによって世界が変わることはありませんでしたが、ぼくの家だけはおおいに迷惑しました。
「われわれは次の銀河に行かなければならない」
唐突に彼女はそう言いました。晩ごはんのときのすき焼きの鍋をつつきながらです。今日は父さんの給料日なので、ちょっと贅沢をしてます。
「ハジメ、ネギも食え。春菊とシイタケもうまいぞ」
そう言ってユレアは牛肉を生卵につけて美味しそうに食べました。
「野菜ばかりじゃん」
「健康にいいのだ。食え。肉は責任もってあたしが食ってやる」
「いやそういうのいいから」
「ユレアちゃんはなんだかハジメのお嫁さんみたいね」
母さんが恐ろしいことをさらっと言った。ぼくと父さんは心臓が止まるかと思いました。そんな冗談言って、地球がなくなったらどうするのかと。だがユレアの箸がピタッと止まりました。
「おまえたちに話すことがある」
地球の終わりのときが来ました。
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