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「ディナートさんのお店を盛り上げる仲間としては、今後も仲良くしていただけると嬉しいなと思っていますが……」
異世界で路頭に迷っていた私を救ってくれたアルカさんと、こんなにも早く別れることになるなんて思ってもみなかった。
「アルカさんの身に何か起きたら、私の命一つでは責任が取れませんので」
そういう意味で、アルカさんを遠ざけていますと伝える。
「私が死んでも悲しむ人はいませんけど、アルカさんは違いますから」
私にも両親という存在はいるみたいだけど、その両親にはまだ会ったことがない。
私が死んだときに悲しんでくれるかどうかも分からない。
こんな言い方になってしまうのを、どうか許してください。
まだ見ぬお父様とお母様。
「とりあえず、辺境の地に一人で向かうことができるくらい鍛えるところから……」
「痴話喧嘩か?」
アルカさんの身を案じて、アルカさんとの別れを選ぼうとした私を引き留めたのは……。
「ディナートさんっ!」
「ディナっ!」
私とアルカさんが一緒に盛り上げると決めた飲食店。
その飲食店を経営しているディナさんが、この場に登場した。
「馬鹿正直すぎるだろ」
「だってー……」
「金持ちかどうかなんて、隠してしまえばどうってことない」
ギルドは前世にあった市役所同様に混み合う場所ということもあって、私とアルカさんは朝食も食べずに出歩いていた。
それを心配してくれたのは、私たちが敬愛する料理長様。
私たちが身を置くワーズの街での農産業を見渡せる野原のような場所を確保して、料理長様は朝ご飯の用意をしてくれる。
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