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(前世の私は……)
なんとなくだけど、尖っていたと思う。
自分の夢を叶えることに必死すぎて、いろんなものを敵視した人生を歩んでいたと思う。
そう思うと、初めての異世界生活で私の性格は随分と丸みを帯びてくれたかもしれない。
(メニュー表が完成したら、グルメマンガに挑戦するのもいいかもしれない)
前世でのキャンプシーンを思い起こすような、メスティンのような物を使ってディナさんが調理を進めていく。
「ミリちゃ……」
「この世界に、マンガというものは存在しますか?」
「え?」
事前にカッティングしてきた玉ねぎを炒め始めるディナさん。
この場で食材の下ごしらえをしなくていいように準備してきたところがディナさんらしいなと思う。
まるで、異世界でキャンプをしているような気分を味わうことができている。
「マンガを描きたいなという欲望が……願望が生まれてきている最中で……」
「…………」
「印刷技術が発展しないと、なかなかマンガが普及しませんよね」
「…………」
炒め終わった玉ねぎにエビが加えられることで、これから私たちが食する朝食が一気に高級感増したものになる。
「ミリちゃんって……」
「はい」
「面白いね」
アルカさんが魅せてくれた笑顔があまりにも綺麗すぎて、目を逸らすのも忘れてアルカさんを見入ってしまった。
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