1 リリアナ発見

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 「クエンカの大戦」と呼ばれるこの戦闘により、ブライアンを支援する有力な貴族たちのほとんどが死亡し、彼らの力が削がれ、この後すぐにアーク王子が王都と王宮を取り戻すことになるのだった。  敗れたヴァレンス侯爵の領地は、アーク側の勢力の支配下に置かれることになった。  冷たい小雨が降る日だった。ガイウスと彼が率いる部隊は先発隊として、クエンカ盆地から東の山間に進み、ヴァレンス城を目指していた。  部隊は、アクィナス軍だけでなくペリクレス辺境伯が派遣してきた部隊や西部の小さな諸侯たちの部隊の混成軍であるため、アーク王子の側近として最も信頼が厚いガイウスがアークの代理として指揮官に指名され、その任を遂行していた。  だれもが気が滅入るような天気であったが、現在の半島の勢力は、誰の目にもアーク王子側が圧倒していることが明白であり、自分たちの勝利が近いという期待で、彼らの気分は高揚していた。また、私財を膨大に蓄えているという噂のヴァレンス侯爵の本拠地に入るということで、分け前を期待する兵士たちの足取りは軽かった。  ブドウ畑が途切れ、小高い丘をいくつか抜けたところにヴァレンス城はあった。ひときわ高い丘の上にそびえるヴァレンス城は装飾が多く、屋根のタイルの色も鮮やかで豪奢な作りをしていた。
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