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しっかり踏み固めたあと、近くから集めてきた落ち葉や枝を散らしてカモフラージュする。そうすれば、一見どこに死体が埋まっているかわからない。そこにあるのは、どこにでもある山中の風景だ。
「お疲れ様でした。これで終了です」
「お疲れ様。これでこれから自由に生きていけるよ。ありがとう」
「いいえ。仕事ですから。それで支払いのことなんですが、月々このくらいでいかがでしょう?」
指を立てる彼女に私は首を傾げた。報酬は前払いしたはず。
「何の話だ? 金なら先に払っただろう」
「これは報酬ではありません。口止め料です」
「そんな話聞いてない! 私は払わんぞ!」
「構いませんが、捕まるのはあなたですよ。私は手を下してませんから」
「あ……」
その時、私ははっとした。この為に彼女は私にとどめを刺させたのか。
「これからもよろしくお願いしますわ。先生」
ニヤリと笑う掃除屋を見て、私は彼女を殺さなければいけないと思った。
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