いつか本当の俺を見てくれますように~たとえ身代わりだとしても、恋情に溺れて~

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 布団を剥ぎ取られたかと思えば左足を持ち上げられて、ジャラッと鎖の音がするその足枷(あしかせ)に鍵が差し込まれて、カチリと音が鳴って枷が外れた。 「(りょう)……さん……?」 「キミは誰? あずさはどこ?」  言いながら、剥き出しの下肢(かし)の中心を握られると力強く、乱暴に扱かれて息が乱れて、涼さんの背にぎゅっと抱き着く。 「ぁっ……ん、ゃ……涼さ……」  涼さんに飼いならされている身体はすぐにその快楽を享受して、次々先走りの液が流れて、涼さんの胸に額を押しつけて、でも痛いくらいに直截的(ちょくせつてき)に握られた性急な扱き方に眉を(しか)める。 「あずさは……こんな身体じゃなかった。ねぇ、キミは誰? こんなのあずさじゃない!!」  叫んだ涼さんが最後に鈴口を(えぐ)った衝撃で、涼さんの指の中に粘液を吐き出してしまう。  涼さんがそれをじっと見つめて、再び涙を流した。 「はっ……っ……涼さ……」  達した余韻で荒い呼吸を繰り返すと、涼さんが俺の剥き出しの太腿に、何か忌まわしいものを拭き取るように白濁を塗り付けた。  仄暗(ほのぐら)い目で俺を見下ろした涼さんが「出て行って」とポツリとこぼした。 「キミはあずさじゃない。出て行って」  嫌だ。俺は涼さんと一緒にいたい。  涼さんが俺を見ていなくたって一緒にいたい。  このまま永遠に、涼さんと溺れていたい。 「嫌……です……。私は……俺は出ていきません。ちゃんと繋いでください。俺を繋いでてください……。涼さんの傍にいさせてください」  けれど、涼さんはもう俺に足枷を嵌めてはくれなくて、ただ黙って倒れ込むようにベッドに横になって、力なく項垂(うなだ)れた。  そっと、背後から涼さんを抱きしめると肩が震えていて、その口から嗚咽のようなものが聴こえて、俺の瞳からも涙がこぼれる。  姉さん、どうしてこうなっちゃったのかな?  どうして、涼さんの夢の中に出てきたのかな?  俺が涼さんを繋いだことに怒ったのかな?  でも、お願い許して。  俺は、涼さんと一緒にいたい。  涼さんの傍にいることを許して──。
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