いつか本当の俺を見てくれますように~たとえ身代わりだとしても、恋情に溺れて~

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 細身の黒のテーパードパンツの前立てを広げて、下着から硬い熱を取り出した(りょう)さんがとろとろと濡れた這入口(はいりぐち)に猛った切っ先を押し当てた。  でも、一つだけ不安なことがあって。 「涼さん……俺の身体でちゃんと欲情出来てますか?」  また、記憶を取り戻したあの日のように、途中で萎えられてしまって失敗したら悲しいなって思ったからだ。  だけど――。  涼さんが己の下芯を(すく)い上げて俺の唇を指で撫で回して艶然(えんぜん)と微笑んだ。  その指は確かに湿っていたから、俺で欲情して淫液を流しているんだと自明(じめい)であって、たちまち安堵と共に(はや)る気持ちを抑えるように背に抱き着く。 「さっきはあんな意地悪言ったけど……僕もなつめを想って一人でシてたよ?」  突然そんなことを言われて頬を(あか)く染めてしまったけれど、でも、お返しとばかりに「どこでですか?」と問うと涼さんはクスクス笑った。 「なつめと同じ場所」  「涼さんも一緒じゃないですか」と唇を尖らせると、可笑しそうな双眸(そうぼう)で瞳を覗き込まれるので、華奢な涼さんの首に腕を回して切っ先が当てがわれているその腰を誘うように振ってみる。 「じゃ、今度は二人でシましょ? ……も、来て? お願い、涼さん」  (とろ)けて掠れた声で囁くと、俺の腰を掴んだ涼さんも欲に低められた声音で「……僕の〝これ〟がそんなに欲しい?」と問われれば何度だって頷くしかないことなんてわかっているはずなのに。 「……本当、涼さんは意地悪です」  こんな即物的で(けもの)じみた行為の最中でも端正な(すず)しい顔を崩さない涼さんの首に絡ませた腕に力を込めると、「挿入(いれ)るね? なつめ」と待ち焦がれた言葉と共に、ぐずりと強靭(きょうじん)な腰で奥を(おか)されていく交接にたちまち甘い吐息がこぼれて。 「んっ……はっ、ぁ……ずっと、こう……したかった……俺の中……涼さんでいっぱ……い、……気持ちっ」  なんて、更に貪欲に己の熱く湿って渇望している秘処(ひしょ)に招き入れようと、涼さんの背中と腰に四肢(しし)を絡みつかせた。
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