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館林雪子の策略
私は父親が殺し屋だと気づいていた。なぜなら父親が同じ組織に属していると幹部から教えられていたから。私は普通の学生のように演じて両親を欺いていたけど、本当は組織に属している殺し屋。
父親が受けた依頼は三人の犯罪者を殺すこと。私は父親がどんな手を使うのか気になって、盗聴器が内蔵されたキーホルダーを父親のスマホにつけた。
父親が別の人間を柊丈一郎という殺し屋に思わせるやり方は好感が持てた。自分の手を汚さないでスマートに殺し合いをさせる計画に私は感動した。
しかし私はそんなにうまくいくはずがないとも思った。これだけ複雑な計画はどこかで破綻を来すだろう。三人が同時に撃ち合うなんてあり得ない。誰かは生き残るかもしれない。
私はその可能性に賭けて三人の電話番号を組織から入手した。そして生き残った田所に電話が通じると父親の計画を全て教えた。
父親を殺そうと必死になってやってくる田所のことを思うと胸が高鳴った。そして父親が戻ってくるのを田所が待ち伏せして、二人は撃ち合い二人とも亡くなった。
私は幹部から依頼を受けていた。その依頼は最高幹部が出した命令のようだ。間接的に最高幹部からの依頼になるけど、私は最高幹部に会ったことがない。
私が組織から受けた依頼は三人と父親を殺すことだった。つまり組織は父親が三人を殺せなかった時のために私という保険をかけたのだ。
そして日を追うごとに高額になる父親の依頼料に組織は嫌気が差していた。組織は新たな伝説の殺し屋、柊丈一郎を求めていた。
麻薬王の板尾は私が彼に対して好意的にならないことを気にしていた。板尾を困らせることで私の深謀は完璧なものになる。そして板尾が私に気があることを父親に伝えたら死のゲームは始まる。
私は組織が望むように柊丈一郎という名前を父親から継承する。私もいつか次に現れる殺し屋によって必ず殺されるだろう。その時まで私は次世代の柊を演じる。私は今回のことで組織から絶大な信頼を得ることができて嬉しさで顔が綻んだ。
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