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🦤🦤🦤
夕日が沈み、夜になった。
満月が明るくボートを照らしていた。
ドードー鳥は、船尾の隅で静かにうずくまっていた。
艦長はじっと鳥を見ていた。
「なあ、教授先生」
「なんだね?」
「あの鳥は絶滅しかけてるんだろう?」
「いかにも」
「どうして?」
「われわれ人間のせいだ。人間が乱獲したからだ」
「なんのために?」
「美しい尻尾の羽は、ご婦人の帽子飾りの装飾用に。そして肉は、食用に」
「食用ねぇ!先生、あの太モモを見たかい?なんてうまそうなんだ!」
「おいおい、何を言い出すんだ!この鳥はRaphus cucullatusの最後の1羽なんだぞ!」
「ふん!本当に最後の1羽なのか?」
「われわれは、1ヶ月かけて島中を探したのだ」
艦長は苦笑した。
「たかが1ヶ月じゃないか!あの広いモーリシャス島を徹底的に調べれば、きっとまだ何羽かいるはずだろう?」
「だが・・・」
「それに、もし私と先生がこのまま餓死してしまったら、誰がこの鳥をロンドンまで届ける?」
「うむ・・・」
教授は絶句した。
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