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第1話 ボートのふたり
🚣♀️
「もう、ダメだ・・・」
「何を言ってるんだ、あきらめるんじゃない!」
・・・と、この物語は、よくある定型文で始まる。
さて、この定型文に当てはまる状況は?
吹雪の山小屋、銃弾飛び交う最前線、それとも模試の悲惨な成績・・・
いや、違う。
ここは大海原。
救命ボートが一艘、見渡す限り何もない。
数週間前、貨物船が沈没した。
生存者は、ボートのふたりだけ。
照りつける太陽。
幸いスコールの季節で、水は確保できている。
だが、ボートに備え付けられた非常食はたった数日分、とっくに食べ尽くしていた。
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