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そこへ、今生の私の祖父、徳川吉宗がやって来た。
「おお、励んでおるようじゃのう。家治、そちは、誠に賢いのう。儂が若い頃は、父上の教えに背いて悪さばっかりで、学問何ぞさっぱりじゃったわ」
祖父は、私の文机に並ぶ書物の数々を見ながらにこやかに笑っている。
「おじじさま!」
前世で父上の胸に飛び込んでいったように、今生でも、私は、大好きなおじじさまに駆け寄っていった。
「家治よ。約束どおり、御定書を持ってきたぞ」
今生での私が尊敬してやまない祖父は、御成敗式目にならったのか、明の国の法などを参考にして、後に、公事方御定書と称される、江戸の時代に合った法典を作った。
おじじさまから、御定書を受け取った今生の私は、貪るようにそれを読み始めた。その様子を、おじじさまは、前世の私の父上頼朝公のように、目を細めて、嬉しそうに見つめている。
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