巡り逢いて

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 姫宮に会う当日。おじじさまと浜御殿に出向いたまだ少年の今生の私は、おじじさまと一緒に、姫宮に差し上げる季節の花々やお菓子や可愛い小物などをたくさん用意して、ドキドキしながら許婚の姫宮を待っていた。  当人よりも張り切っていたおじじさまは、今生の私に、「姫宮には、『はるばる遠いところをよく来てくださいました』とか、ねぎらいの言葉をかけて差し上げて、花を手渡すのじゃぞ」などと具体的な助言をして下さった。  おじじさま大好きっ子の今生の私は、素直にうなずいて、おじじさまの言うとおりにするつもりだったのだが。可憐で愛らしい許婚の姫宮を一目見るなり、ぼおっとなって、何もかも忘れてしまった。  
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