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今生の私の潜在意識の中で、前世の私の記憶がよみがえる。
目の前の今生の私の許婚の姫宮は、出会った歳の頃も、姿かたちも、前世の私の御台所にそっくりだった。
間違いない、私たちは、時を経て、再び将軍家とその御台所として出会ったのだ。
今生の私は、思わず、前世で私が詠んだ歌を口ずさんでいた。
「都より吹き込む風の君ならば忘るなとだに言わましものを。姫とは、生まれ変わる前に一度、前世でお会いしたことがあるような気がいたします」
姫宮の方も、恥ずかし気に俯いて微笑みかけてくれた。
おじじさまは、今生の私達の様子を見ながら、(なかなかよい感じじゃわい)と満足そうにうなずいていた。
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