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運転席でエアバッグに挟まれて気絶していたのは、あのチンビラだった。顔が腫れ上がっているのは、恐らく兄貴分達には制裁を受けたからだろう。思ったより頭が働く奴だったのかもしれない。
頭上を旅客機が離陸して行く。俺と女が乗る筈だった、俺たちを自由へ、籠の外へ連れて行ってくれる筈だった飛行機。轟音が痛む身体を震わせるようだった。
また女を死なせた。
また、独りで生き残った。
俺は座り込んだ。救急車のサイレンが聞こえてきた。
(終)
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