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籠から出る時
首都高速の羽田線が少し渋滞していた。貨物車輌に前後を挟まれた恰好だ。ステアリングに上体を預け、俺は前方を見ていた。
「手際が良いのね」
「悪いことは大抵やってきたからな」
「あたし今凄く、自由な気持ち。ううん、あなたに会ってからずっと、こんな気分だった」
「こんなって?」
俺は女を見た。女も俺を見ていた。薄く笑みさえ浮かべていた。
「……籠からやっと出られたような、そんな気持ち」
籠から出られた鳥が、長く生きられる保証は無かった。何故なら籠の外は、中よりずっと危険たからだ。
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