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私が占いをする部屋はこんな感じ。
黒い壁で、薄暗い紫色の明かりが部屋全体を包み込んでいる。そして黒い布をかけた丸いテーブルの上には水晶の玉。人の心が見える能力は知られると絶対に変な目で見られたりしそうだから、世間には隠している。だから、その玉の中に占いの答えが映って見える設定になっている。
占いの流れはこんな感じ。
まずは訪れたお客さんの軽いプロフィールと悩みを紙に書いてもらい、話を訊く。相手の頭の中に意識を集中させて色と言葉、浮かんでいることを把握する。そして「本当は、こんなこと思ってますね? 水晶に映っています」と私が言う。すると相手は大体「えっ? すごい! 本当はそんな風に思っていました!」って反応が多いかな? ちなみに悩みは言っていることと、心の中で浮かんでいることが違っている人も多かったりする。
心の中が見えちゃうから、心を読んで、相手が本当はどうしたいのか分析して、前に進めるようにアドバイスをする。最後にはそれをメモして渡す流れ。
暖かい季節。いつものように、椅子に腰かけ待機していると、彼が来た。
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