1.一翔くんの心の中

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 彼は総長だから、この悩みってチームのことかな?  失礼します!  彼の頭の中に意識を集中させてみた。  まず、人それぞれの『色』が見えてくる。彼は……青緑っぽいけれどとてもくすんでいる。言葉の通り、悩んでいるみたい。ちなみにこの色は、時期によって色が変わったりするんだけど、彼の色は、冷静と優しさが合わさっている。  言葉がほわっと次々に浮かんでくる。 『あいつらに冷た……傷つけてる。もっと優しくしたい……凛としてないと、強そうに見せてないと、総長としては……。でも嫌われたくない……俺はリーダーとか向いていない』  あ、そういうことか。 「瀬戸一翔さん、本当は、こんなこと思ってますね? 水晶に映っています。まずは、あなたがあなた自身、このままでいいのか、悩まれていますね」 「はい」 「強そうな雰囲気を保っていないと、リーダーとして見られないのではないか、でも冷たくしすぎて周りを傷つけたりしてはいないのかとお考えのようで……そしてリーダーに向いていないのではないかと」 「はい」  いや、向いていると思う。  彼は全てがパーフェクトだし、そして……。 「そのままで大丈夫だと思います。まず、そう思っている時点でリーダーの素質はあると思います。優しさもありますし。向いていない人は自分のことだけしか考えられないと思います」  それから私は、もしも自分がチームのメンバーで、総長の彼にされたら嬉しいなと思うことを想像しながらアドバイスをした。 「冷たく見られるのが嫌なら、まずは、話し方を優しくしたり、普段は凛とし、でも時々、笑顔を見せてみたりすればどうでしょうか?」  アドバイスと言っても疑問系な感じで。結局最終的に決めるのは本人だから。ちなみにこのアドバイスや流れは、私のお母さんが占いをしている様子を隣の部屋からこっそり見て得た、知識ややり方。今はもっと人の悩みに上手にアドバイスが出来るように、心理学の本も読んで勉強をしている。 「やってみよっかな……ありがとうございました」  少しだけどんよりした雰囲気が解けて、明るくなった様子で彼は帰っていった。早速ほんのり笑顔を見せてくれた。彼の笑顔を見て、私の胸の鼓動が速くなった。 「えっ? あんな笑顔初めてみた!」  学校ではクールだから、本当に笑顔を見せない。学校では全く人の心が読めなくて分からなかったけれど、彼、冷たく見えるけれど本当はすごく優しい人なのかな?
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