恐妻と愛妻は紙一重

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 しまいには、夫婦喧嘩の成り行きをびくびくしながら見ていた奇妙丸が大泣きをし、「ははさまのお腹のお子は、奇妙の大事な弟か妹にこざりまする。ははさま、どうか、殺さないでください」と帰蝶に縋り付いて懇願したため、腹の子は無事だった。  家の秩序のためなら、側室の産んだ嫡男を生かして、自分の腹の子を切り捨てることもためらわない、帰蝶の態度はそれほど徹底していた。
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