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「生まれてきたのが、姫でよろしうございました」
一度は抹殺しようとさえした我が娘に対する帰蝶の態度はあっけらかんとしたものだった。
これに対して、帰蝶の指摘したとおり、道三も、信長も、子に対しては非情になりきれなかった。
父親というのは、それが娘であれば、特に甘くなりがちである。
信長は、生まれて来たばかりの娘がふびんで仕方がなかった。
帰蝶が生んだ娘、藤を、道三が帰蝶に対してそうであったように、信長は数ある子の中でも特に溺愛した。
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